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「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」は使えない?
相場の転換点は「くちばし」というシグナルで見る
株式投資の道具として移動平均線を使用しますが、相場のトレンドが転換する際、一般的な株の教科書では「ゴールデンクロスで買い」や「デッドクロスで売り」という様に書かれています。
ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を下から抜いてクロスした状態で、今まで下落していた株価が上昇に転じた事によって、移動平均線も上を向き、「相場が強いですよ」というサインになります。
それとは逆に、デッドクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を上から抜く事で、「上昇相場が下落相場へ転じましたよ」というサインになります。
しかし、この一般的なゴールデンクロスとデッドクロスには、ただ単純に理解しただけでは失敗するという落とし穴があります。
例えば上昇相場で、短期の5日移動平均線と長期の60日移動平均線がついにクロスした場合を考えてみましょう。
重要なのは、その時点の株価は上昇してから何日目なのかという事です。
仮に10日も過ぎていたとすれば、そこが既に天井付近で前の高値に並んでいる可能性もあります。そうした時に、ゴールデンクロスになったから「よし、買いだ」とやると、その後下落していくというパターンもあるのです。
それは、逆のデッドクロスの時でも同じ事が言えます。
そこで相場式では、こうした罠にハマらない為に、新たな解釈でこのシグナルを使用します。
それが「くちばし」です。
「くちばし」とは、鳥のクチバシの事で、通常のゴールデンクロスが単なる移動平均線同士の交わりという概念に対して、「くちばし」は短期移動平均線と長期移動平均線が両方とも上を向いた状態での交わりという捉え方をします。
ですので、ほぼ横を向いている長期線を短期線が抜いたとしてもそれは「くちばし」ではなく、買いサインではありません。
長期線が横を向いている場合、株価の流れは不安定なままで、仮に短期線と交わったとしても、それは一時的な上昇である場合が多く、またすぐ下げ始めてしまうというパターンが見られます。
「くちばし」が形成したという事は、短期的にも長期的にも株価の勢いが強いという事を表します。
このサインは、例えば3日線と5日線との「くちばし」や5日線と7日線との「くちばし」という見方をする事によって、より株価が離れた位置から相場の転換点を予想する事ができます。
玉を入れている最中は、「上がって欲しい」、「下がって欲しい」といった感情や、「たぶん上がるだろう」、「たぶん下がるだろう」という希望的観測で相場の流れを勝手に判断してしまう事が多いと思います。
しかし、ここは移動平均線という武器を信じるしかありません。
相場の流れを決めているのは、あなたも含め全ての投資家達。その流れを表してくれているのが移動平均線です。
これほどまでに信頼できるパートナーはいません。
私はそう考えています。